「結婚さえできれば、きっとすべてうまくいく」——そう考えていた時期があったとしても、今この記事を開いているあなたは、すでにその先にある「生活」まで視野に入れているのではないでしょうか。特に、障害のあるお二人、あるいはどちらか一方に障害や配慮が必要な特性がある場合、「障害者 結婚」というテーマは、喜びと同時にたくさんの不安も連れてきます。
仕事や収入のこと、障害年金や福祉サービスなどの制度がどう変わるのか。住まいはどこにするのか。家事や通院、介助やサポートをどう分担するのか。ご家族との関係や、「親なきあと」をどう考えるのか。そして何より、二人で自立した夫婦生活を続けていくために、どんな心構えと準備が必要なのか——。
結婚は、ゴールではなく「一緒に暮らしを作っていく長い旅のスタート」です。そのスタートラインに立つ前に、現実から目をそらさず、しかし過度に恐れすぎることなく、「今できる準備」を一つひとつ整えておくことが、安心して前に進むための鍵になります。
本記事では、東京・神奈川・横浜エリアを中心に「障害者 結婚」に向き合うカップルの相談を受けてきた障害者向け結婚相談所の視点から、成婚前にぜひ押さえておきたいポイントを整理します。お金や制度、住まい、家事・生活スキル、家族や支援者との関係、心の準備とコミュニケーションなど、「自立した夫婦生活」に欠かせない具体的なテーマを、できるだけわかりやすくお伝えします。
また、出会いから成婚、その後のアフターフォローまでを一貫して支える「障害者 結婚相談所」として、私たちがどのような姿勢でお二人の人生に伴走しているのかもご紹介します。お読みいただくことで、「不安だから結婚をあきらめる」のではなく、「不安があるからこそ、準備をして一歩ずつ進んでいく」という前向きな選択肢を見つけていただけたら幸いです。
■目次
– はじめに:結婚はゴールではなく「生活づくり」のスタート
– 第1章 障害のある二人が結婚で直面しやすい現実と課題
– 第2章 自立した夫婦生活の「土台」を作る3つの視点
– 第3章 生活設計とお金:制度・収入・支出を一緒に整理する
– 第4章 住まいと環境づくり:安全で心地よい暮らしを整える
– 第5章 家事・生活スキルとサポートの使い方
– 第6章 心の準備とコミュニケーション:トラブルを減らす話し合いのコツ
– 第7章 家族・支援者との関係づくりと地域資源の活用(東京・神奈川・横浜エリア)
– 第8章 障害者 結婚相談所ができること:成婚後のアフターフォローまで
– まとめ:結婚を「ゴール」ではなく「伴走」として考える
### はじめに:結婚はゴールではなく「生活づくり」のスタート
障害の有無にかかわらず、結婚は人生の大きな節目の一つです。しかし、私たちが本当に向き合わなければならないのは「結婚」というイベントそのものではなく、その後何十年も続いていく「日々の生活」です。
特に、身体・知的・精神・発達障害や難病など、何らかの障害や配慮の必要な特性があるお二人の場合、「結婚してから考えればなんとかなる」という楽観だけでは、現実とのギャップに苦しむ場面が増えてしまいます。一方で、心配事ばかりに目を向けて「やっぱり自分たちには無理だ」と可能性を閉じてしまうのも、とてももったいないことです。
大切なのは、
– 現実的な課題を早めに把握し、
– 自分たちだけで抱え込まずに専門家や支援者と一緒に整理し、
– 「今の自分たちにできる準備」と「サポートを借りればできること」を分けて考えること
です。
本記事では、東京・神奈川・横浜エリアで多くの「障害者 結婚」のご相談を受けてきた経験をもとに、次のような疑問に丁寧にお答えしていきます。
– 障害のある二人が、自立した夫婦生活を送るために、最低限押さえておきたいポイントは何か
– 結婚によって、障害年金や福祉サービス、お金の流れはどう変わりうるのか
– 住まい選びや家事分担、家族との関係づくりで、つまずきやすいポイントはどこか
– 価値観や体調の違いからくるすれ違いを、どうやって減らしていけばよいか
– 障害者 結婚相談所は、出会いだけでなく成婚後の生活づくりにもどう関われるのか
「結婚はゴールじゃない」。この前提に立つことで、結婚そのものよりも、「二人でどんな暮らしを作りたいか」という本質的な問いが見えてきます。この記事が、お二人なりの答えを見つけていくための道しるべになればと思います。
### 第1章 障害のある二人が結婚で直面しやすい現実と課題
まずは、「障害者の結婚」で実際に起こりやすい課題を、できるだけ具体的に整理してみましょう。ここで挙げるものは決して「だから結婚は難しい」という話ではなく、「だからこそ事前準備が大切になるポイント」です。
#### 1-1 経済面:収入の不安定さと制度の変化
障害のあるお二人の場合、
– 障害年金
– 就労継続支援事業所等からの工賃
– パートタイムや配慮のある職場での給与
など、一般的なフルタイム雇用とは異なる形で収入を得ているケースも多くあります。そのため、
– 収入の額が月ごとに変動しやすい
– 体調や環境の変化で働けなくなる不安がある
– 結婚して世帯が一つになることで、利用できる制度や負担額が変わる
といった点が、経済面での大きなテーマになります。
「なんとなくやっていけそう」「たぶん大丈夫」という感覚だけで結婚してしまうと、後から思わぬ制度の変更や支出増に直面し、「こんなはずじゃなかった」と感じてしまうことも少なくありません。
#### 1-2 生活リズム・体調の違い
障害の内容や特性によって、
– 朝起きる時間や睡眠リズム
– 通院の頻度や服薬のタイミング
– 音・光・人混みなどの刺激への敏感さ
– 疲れやすさ、休憩が必要な頻度
などは、大きく異なります。「付き合っているとき」には見えにくかった部分が、「一緒に暮らす」と一気に表面化することがよくあります。
例えば、片方は朝型で規則正しい生活リズムを大切にしている一方、もう片方は睡眠障害や服薬の影響で朝起きるのが難しい、というカップルも珍しくありません。このような場合、相手の生活リズムや体調を「怠けている」と誤解してしまうと、関係に大きな負担がかかります。
#### 1-3 家事・生活能力と役割分担
– 調理や買い物が得意な人
– 掃除が得意な人
– 書類管理やお金の計算が得意な人
それぞれの得意・不得意に加え、障害によってどうしても難しい作業も出てきます。「二人とも体力的に掃除が負担」「お金の管理がどちらも苦手」など、役割分担だけでは解決しないケースもあります。
このとき、「どちらかが我慢して頑張る」か「完璧な家事を目指す」かの二択にしてしまうと、お互いに疲れ果ててしまいます。本当は、福祉サービスや家事代行を上手に組み合わせることで、現実的な暮らし方が見えてくるケースも多いのです。
#### 1-4 家族との関係と「親なきあと」への不安
障害のある方にとって、親御さんやご家族は長年の大切な支えであり、安心の源でもあります。その一方で、
– 結婚後もどこまで親に頼るのか
– 親はどこまで関わるのがよいのか
– 将来、親が高齢になったり亡くなったりした後のサポート体制
など、「家族との距離感」や「親なきあと」が大きなテーマになります。
親御さんが「心配だから結婚に反対」という立場になってしまうことも少なくありません。しかし、その背景には「自分がいなくなったとき、この子は本当に大丈夫だろうか」という深い不安があります。この不安を一緒に言葉にし、具体的な対策を考えていくことが、結婚への理解を得る近道になります。
#### 1-5 社会の偏見と周囲の目
残念ながら今も、「障害のある人が結婚して家庭を持つ」ことに対する偏見や無理解が、ゼロになったとは言えません。
– 「障害があるのに結婚して大丈夫なの?」という心ない言葉
– 一方を「お世話する側」、一方を「お世話される側」と決めつけられる
– 子どもを持つかどうかについて、過干渉な意見を向けられる
といったことに傷つくお二人も多くいます。
だからこそ、二人の中で「自分たちなりの結婚観・夫婦像」をしっかり持ち、それを支えてくれる家族や支援者とつながっておくことが大切です。東京・神奈川・横浜エリアには、障害のあるご夫婦やカップルを応援する支援機関やNPOも増えています。視野を広げることで、「自分たちだけが特別に大変なのではない」と感じられることも多いでしょう。
### 第2章 自立した夫婦生活の「土台」を作る3つの視点
第1章で見てきたような課題に向き合うとき、「どこから手をつければよいのか分からない」と感じる方も多いと思います。そこでまずは、結婚準備を考えるうえでの大きな枠組みとして、「3つの視点」をご紹介します。
#### 2-1 視点①:生活の安全・安定
自立した夫婦生活のベースになるのは、「毎日の生活が大きな不安なく回ること」です。ここでいう安全・安定とは、
– 体調が大きく崩れたときにも、すぐに支援につながれる
– 住まいが、障害の特性に合った環境になっている
– 災害やトラブル時の連絡先や避難経路が整理されている
といった状態を指します。
「何も起きないこと」を前提にするのではなく、「もし何かが起きたときにどうするか」をあらかじめ話し合っておくことで、日々の安心感は大きく変わります。
#### 2-2 視点②:経済的な見通し
二人で生活していくうえで、お金の問題は避けて通れません。ここで大切なのは、
– 今の収入と支出をリアルに把握すること
– 結婚によって変わる可能性のある制度や費用を確認すること
– 「理想」だけでなく、「最悪のケース」も想定しておくこと
です。
「最悪のケースを考える」と聞くと、少し怖く感じるかもしれません。しかし実際には、
– どちらかが一時的に働けなくなったら
– 予想外の医療費がかさんだら
といった場合でも、「ここまでなら耐えられる」「ここを超えたらこの制度を使おう」と見通しがついていると、逆に安心して日常を送ることができます。
#### 2-3 視点③:心の支えとつながり
夫婦二人だけで、すべての問題に立ち向かう必要はありません。むしろ、障害のあるお二人こそ、「頼れる人や場所が多いほど、自立度が高まる」と考えていただきたいのです。
– 親やきょうだいなどの家族
– 相談支援専門員やヘルパー、医師・看護師
– 就労支援事業所やデイケアのスタッフ
– 当事者会やピアサポーター
– 障害者 結婚相談所のカウンセラー
こうした人たちとのつながりは、「困ったときに相談できる」「第三者の視点でアドバイスをもらえる」という意味で、夫婦関係を守る大きな支えになります。
#### 2-4 「自立」とは「一人きりで頑張ること」ではない
ここで一つ、言葉の定義を共有しておきたいと思います。本記事でいう「自立した夫婦生活」とは、「すべてを自分たちだけでこなす生活」ではありません。
むしろ、
– 必要なサポートを上手に組み合わせて、
– 二人が安心して自分らしさを発揮できる暮らしを作ること
こそが、自立だと考えています。
例えば、
– 掃除は福祉サービスや家事代行の力を借りる代わりに、二人の体力を仕事や趣味、コミュニケーションに使う
– 金銭管理は、FP(ファイナンシャルプランナー)や相談支援専門員に相談しながら、無理のないルールを決める
– 夫婦だけで解決しづらい価値観の違いは、第三者を交えて話し合う
といった選択は、「依存」ではなく「自立的な工夫」です。この視点を持てるかどうかで、結婚後の暮らしやすさは大きく変わります。
### 第3章 生活設計とお金:制度・収入・支出を一緒に整理する
ここからは、「自立した夫婦生活」のために具体的に準備しておきたいポイントを、一つずつ見ていきましょう。まずは、多くのカップルが不安を抱える「お金」と「制度」からです。
#### 3-1 今の収入と支出を書き出して「現状」を知る
結婚準備の第一歩は、「今の状態を正しく知ること」です。難しい計算はできなくてかまいません。まずは、次のような項目を書き出してみましょう。
【収入の例】
– 給与(フルタイム・パート・アルバイトなど)
– 障害年金
– 各種手当(例:特別障害者手当など、該当する場合)
– 工賃(就労継続支援A型・B型など)
– その他の収入
【支出の例】
– 家賃や住宅ローン
– 光熱費(電気・ガス・水道)
– 通信費(スマホ・インターネット)
– 食費・日用品
– 医療費・薬代
– 交通費
– 趣味・交際費
– 予備費・貯金
ポイントは、
1. 「1か月あたり」の大まかな金額でよいので、具体的な数字を書く
2. 二人分を合わせたときに、「黒字か赤字か」「どのくらい余裕があるか」を見る
3. 「どこをどう削るか」ではなく、「どこを工夫すれば安心感が増すか」という視点で考える
ことです。
#### 3-2 結婚による制度・負担の変化を事前に確認する
結婚によって、
– 世帯の人数や所得の扱いが変わる
– 税金や社会保険料の負担が変わる
– 各種福祉サービスの利用料や上限額が変わる
といった変化が生じることがあります。
制度の詳細は自治体や時期によって異なるため、具体的なことは必ずお住まい予定の市区町村窓口や、相談支援専門員などに確認する必要がありますが、少なくとも以下の点は事前に押さえておきましょう。
– 障害年金は、基本的には「障害の状態」と「保険料の納付状況」で決まるものであり、結婚の有無だけで突然止まるものではないこと
– 一方で、世帯の所得が増えることで、医療費助成や福祉サービスの自己負担上限額などが変わる可能性があること
– 公営住宅や福祉住宅など、住まいに関する制度にも「世帯単位」の条件が設けられている場合があること
「もし結婚したら、制度や負担はどう変わりますか?」という質問を、早めに専門窓口に投げかけておくことで、大きな不安を減らすことができます。
#### 3-3 利用できるかもしれない主な制度を知っておく
詳細は地域によって異なりますが、障害のあるお二人が結婚生活を送るうえで関わりやすい制度として、次のようなものがあります。
– 障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金など)
– 自立支援医療(精神通院医療・更生医療など)
– 障害福祉サービス(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、生活介護、就労系サービスなど)
– 障害者手帳による各種割引(交通機関、公共施設、税金など)
– 住宅に関する支援(公営住宅、家賃補助、住宅改修助成など)
– 必要に応じた生活保護などのセーフティネット
これらを一度に完璧に理解しようとする必要はありません。「こういう仕組みがあるらしい」という大まかなイメージを持ち、いざというときに「どこに相談すればよいか」を把握しておくことが大切です。
東京・神奈川・横浜エリアには、福祉制度や生活設計に詳しい相談窓口が多数あります。区役所・市役所の障害福祉窓口や、地域活動支援センター、相談支援事業所などに早めにアクセスしておくと安心です。
#### 3-4 ライフプランを一緒に描いてみる
収入・支出・制度の大枠が見えてきたら、今度は少し先の未来を一緒に考えてみましょう。
– 5年後、10年後、どんな生活をしていたいか
– 働き方や収入を、どう変えていきたいか
– 引っ越しや住み替えの可能性はあるか
– 子どもを持つかどうか、その場合どんなサポートが必要になりそうか
すべてを今決める必要はありません。ただ、「二人で同じ方向を向いているか」「どのあたりで考え方が違うのか」を確認しておくことが、後々の大きなすれ違いを防ぎます。
#### 3-5 障害者 結婚相談所がサポートできること(お金・制度編)
当相談所のような障害者向け結婚相談所では、必要に応じて、
– 収入・支出を書き出すワークシートの提供
– 制度の概要説明(詳細は各窓口につなぐ)
– 相談支援専門員や福祉関係者との連携
– ファイナンシャルプランナーのご紹介
などを通じて、「お金と生活設計」の不安を一緒に整理していきます。
「制度が難しくてよく分からない」「何から聞けばよいか分からない」という声はとても多いものです。そのもやもやを一人で抱えず、第三者との対話を通して言葉にしていくことで、「自分たちにもできる現実的な選択肢」が見えてきます。
### 第4章 住まいと環境づくり:安全で心地よい暮らしを整える
次に、「どこで、どのような環境で暮らすか」というテーマを考えてみましょう。住まいは、夫婦生活の土台となるとても大きな要素です。
#### 4-1 住まい選びの基本的なポイント
障害のあるお二人が住まいを選ぶ際、特に意識したいポイントは次の通りです。
1. 医療機関・支援機関へのアクセス
– 主治医のいる病院やクリニックまでの距離
– 通院にかかる時間や交通手段
– 緊急時に駆け込める医療機関の有無
2. 日常生活のしやすさ
– 最寄り駅やバス停までの距離とバリアフリー状況
– スーパーやドラッグストア、コンビニなどまでの距離
– 役所や福祉窓口、地域活動支援センターなどへのアクセス
3. 住宅のバリアフリー性
– 室内の段差や階段の有無
– エレベーターの有無(マンションの場合)
– 浴室やトイレの広さ、手すりの付けやすさ
4. 周囲の環境
– 騒音や人通りの多さ(感覚過敏がある場合は特に重要)
– 夜間の治安や街灯の明るさ
– 災害時のリスク(洪水・土砂災害など)
東京・神奈川・横浜エリアは交通が便利な一方で、家賃が高めの地域も多くあります。「便利さ」と「家賃」「環境」のバランスを、お二人の体調や収入に合わせて考えていくことが大切です。
#### 4-2 実家の近くに住むか、離れて住むか
住まいを選ぶ際、多くのカップルが悩むのが「実家との距離」です。
【実家の近くに住むメリット】
– いざというときに親御さんのサポートを受けやすい
– 親御さんにとっても安心感がある
– 地域の病院や支援機関など、慣れた環境で生活できる
【実家から離れて住むメリット】
– 夫婦二人の生活リズムを作りやすい
– 親子それぞれが新しい関係性を築きやすい
– 通勤や通学、通院に便利な場所を自由に選べる
どちらが正解ということはありません。親御さんの健康状態や支援の有無、お二人の通勤・通院先などを含めて、「自分たちの生活にとって、どの距離感がいちばん安心か」を話し合うことが大切です。
#### 4-3 支援付き住宅やグループホームという選択肢
障害のある方の住まいには、一般的な賃貸住宅だけでなく、
– 支援付き住宅
– グループホーム
– サテライト型住居
など、さまざまな形があります。
ただし、グループホームなどは「個人単位」を前提としている場合が多く、カップルや夫婦での入居が難しいケースもあります。一方で、地域によっては「夫婦入居可」の住まいや、近隣に住みながら必要なときだけ支援を受けられる仕組みが整っているところもあります。
住まいの選択肢は地域差が大きいため、「結婚を考えていること」「二人で暮らしたいこと」を、早めに相談支援専門員や自治体窓口に伝えておくと良いでしょう。
#### 4-4 「自分たちらしい空間」を一緒にデザインする
住まいは、単なる箱ではなく、「二人の関係を育てる場」です。
– どこで一緒に過ごす時間を大切にしたいか(リビング、寝室など)
– それぞれの「一人になれるスペース」をどう確保するか
– 片づけやすい収納の仕組みをどう作るか
などを事前に話し合っておくと、同じ部屋でも居心地が大きく変わります。
例えば、感覚過敏がある方は、
– 白色LEDではなく暖色系の照明を選ぶ
– カーテンやカーペットで音や光を和らげる
– 落ち着ける「クールダウンスペース」を決めておく
といった工夫で、ストレスを大きく減らせることがあります。
#### 4-5 障害者 結婚相談所がサポートできること(住まい・環境編)
当相談所では、
– お二人の通勤・通院ルートや生活リズムをヒアリング
– 必要な支援やサービスを踏まえた「住まい選びの条件整理」
– 相談支援専門員や不動産会社への相談の仕方のアドバイス
などを通して、現実的な住まい探しの準備をお手伝いしています。
「どんな部屋がいいか」ではなく、「どんな暮らしがしたいか」から一緒に考えることで、物件情報の海に溺れずに済みます。
### 第5章 家事・生活スキルとサポートの使い方
次に、「毎日の生活を回す力」について考えてみましょう。ここで大切なのは、「二人で全部完璧にこなす」ことではなく、「必要なサポートを含めた“チーム”で暮らしを支える」という発想です。
#### 5-1 今の生活スキルを一緒に棚卸しする
まずは、次のような項目について、「得意」「普通」「苦手」「サポートがあればできる」に分けてみましょう。
【主な生活スキルの例】
– 買い物(必要なものを選んで購入する)
– 調理(簡単な料理/レシピを見ながらの料理)
– 洗濯(洗う・干す・たたむ・しまう)
– 掃除(床掃除・トイレ・お風呂など)
– ごみ出し(分別ルールの理解・実行)
– 通院の管理(予約・薬の管理)
– 金銭管理(支払い・家計簿・貯金など)
– スケジュール管理(予定を把握し行動する)
ポイントは、
– 「できる/できない」を評価するのではなく、「どうすればできるか」を考えること
– 障害の特性によって難しい部分は、「仕組み」や「サポート」で補う前提にすること
です。
#### 5-2 役割分担は「公平」より「納得感」を重視する
役割分担を話し合う際、多くのカップルが「50対50の平等」を目指そうとして行き詰まります。しかし、体力や特性、得意・不得意は人それぞれです。同じ時間をかけても、負担感が大きく違うこともあります。
そこでおすすめなのが、
1. 「やらなければならない家事」の全体像を書き出す
2. それぞれが「やりやすいこと」「苦手なこと」に印をつける
3. 「完全な平等」ではなく「お互いが納得できるバランス」を探る
4. どうしても負担が偏る部分は、外部サービスの利用も検討する
という進め方です。
#### 5-3 福祉サービスや家事代行を上手に組み合わせる
障害のあるお二人の場合、全部を二人だけで抱え込まずに、
– 障害福祉サービス(居宅介護、重度訪問介護、行動援護など)
– 家事代行サービス
– 宅配弁当やネットスーパー
といった外部の力を組み合わせることで、「持続可能な暮らし」に近づくことができます。
例えば、
– 掃除や洗濯など体力を使う家事は福祉サービスを活用し、その分のエネルギーを仕事や趣味に回す
– 平日は宅配弁当や冷凍食品を活用し、休日に体調の良い方が簡単な料理を楽しむ
といった形で、「完璧さ」よりも「続けられること」を重視するのがおすすめです。
#### 5-4 体調が悪化したときの「非常用マニュアル」を作る
障害特性や体調は、日によって変動します。普段は問題なくできることも、症状が悪化したときには難しくなることがあります。
そのために、
– どちらかが動けなくなったときに、優先して行うべき家事
– 緊急で頼れる人やサービスの連絡先
– 服薬や通院に関する最低限の情報
をまとめた「非常用マニュアル」を作っておくと安心です。
紙でもスマホのメモでも構いません。「いざというとき」は焦ってしまうものですから、平常時に一緒に作っておくことが大切です。
#### 5-5 事例:家事負担の偏りから前向きな役割分担へ
例えば、こんなカップルがいました(実際のご相談をもとにした架空のケースです)。
– Aさん:身体障害があり、長時間立ちっぱなしの作業は難しいが、書類やお金の管理が得意
– Bさん:精神障害があり、波はあるものの体調の良い日は家事をまとめてこなせるタイプ
同居当初は、
– Bさんが「体調の良いときにまとめて家事をしなきゃ」と無理をしてしまう
– Aさんは「自分はあまり役に立てていないのでは」と自信をなくす
という悪循環に陥っていました。
そこで当相談所のカウンセラーが間に入り、
– 家事・生活スキルの棚卸し
– 「得意なこと」「苦手なこと」の整理
– 外部サービスを含めた役割分担の再設計
を一緒に行いました。
結果として、
– 体力を使う掃除や洗濯は福祉サービスも活用
– Bさんは「料理と買い物」を中心に、調子の良い日に無理なく担当
– Aさんは「金銭管理と書類関係」を担当し、家計の見通しを作る役割に
という形に落ち着き、お互いの「できていること」に目を向けられるようになりました。
### 第6章 心の準備とコミュニケーション:トラブルを減らす話し合いのコツ
結婚生活で最も大切なのは、「話し合い続ける力」と言っても過言ではありません。障害の有無にかかわらず、価値観や生活リズムの違いから、すれ違いは必ず起こります。
ここでは、「障害者の結婚」で特に意識しておきたいコミュニケーションのポイントをまとめます。
#### 6-1 「特性」と「困りごと」を言語化する
障害名そのものよりも大切なのは、「具体的にどんな場面で、どんな困りごとが起きやすいか」です。
例えば、
– 人混みや大きな音が続くと、頭が真っ白になってパニックになりやすい
– 予定の変更が苦手で、急な変更が続くと強い不安を感じる
– 長時間の歩行や階段の上り下りがつらく、痛みが出る
– 気分が落ち込むと、片づけや家事にまったく手がつかなくなる
といった具体的な「困りごと」を、お互いに共有できているかどうかが重要です。
そのうえで、
– そういう状態になりかけたときの「サイン」は何か
– そのサインが出たときに、相手にどう伝えてほしいか
– 相手は、どう関わってくれると助かるのか
を一緒に話し合っておくと、トラブルを大きく減らすことができます。
#### 6-2 結婚前に話し合っておきたい10のテーマ
次のようなテーマについては、結婚前に一度じっくり話し合っておくことをおすすめします。
1. お金の管理
– 共有口座を作るか、お小遣い制にするか
– クレジットカードやネットショッピングの使い方
2. 仕事と家事のバランス
– それぞれの働き方の希望
– 家事の分担と外部サービスの利用方針
3. 住まいと将来の引っ越し
– どの地域に住みたいか(東京・神奈川・横浜など)
– 実家との距離感
4. 親やきょうだいとの付き合い方
– どのくらいの頻度で会うか・連絡を取るか
– 困ったときにどこまで頼るか
5. 子どもをどう考えるか
– 持つか持たないかはもちろん、「今はまだ決めない」という選択も含めて整理
– 妊娠・出産や養育に必要な支援についてのイメージ共有
6. 休日の過ごし方
– 一緒に過ごす時間と、それぞれの一人時間のバランス
7. 体調が悪いときの対応
– 仕事・家事・予定をどこまで調整するか
– どんな声かけがうれしいか
8. 衝突したときのルール
– 言ってはいけない言葉
– 一度距離をとる「タイムアウト」の取り方
9. スマホやSNSとの付き合い方
– 連絡の頻度や既読スルーへの考え方
– パスワードを共有するかどうか
10. 将来への不安と希望
– 「一番心配していること」と「一番楽しみにしていること」をお互いに伝える
これらのテーマは、一度話せば終わりではなく、結婚後も折に触れてアップデートしていくものです。大切なのは、「話し合うこと自体を諦めない」ことです。
#### 6-3 感情的になりやすいときの工夫
発達障害や精神障害がある場合、ストレスが溜まると感情のコントロールが難しくなることがあります。また、相手の表情や言葉の裏の意味を読み取るのが難しく、すれ違ってしまうこともあります。
そんなときに役立つのが、
– 事前に決めた「タイムアウトルール」を使う
(例:「お互いに怒りが強くなってきたら、一度15分別々の部屋でクールダウンする」など)
– 文字でのやりとりを活用する
(例:口頭ではうまく伝えられないことを、LINEやメモで落ち着いて伝える)
– 「あなたはいつも~」ではなく、「私はこう感じた」という主語で話す
といった工夫です。
#### 6-4 第三者を交えた「夫婦の練習」も有効
二人だけでは話が進まないときや、感情が高ぶりやすいテーマについては、
– カウンセラー
– 相談支援専門員
– 信頼できる支援者
– 障害者 結婚相談所のスタッフ
といった第三者に同席してもらうのも良い方法です。
「二人だけでは難しい話題を、一緒に整理してもらう」という経験は、「自分たちは誰かと一緒なら、ちゃんと話し合える」という自信にもつながります。
### 第7章 家族・支援者との関係づくりと地域資源の活用(東京・神奈川・横浜エリア)
結婚生活を長く安定して続けていくためには、「夫婦二人+家族・支援者・地域」という広いネットワークを意識することがとても重要です。
#### 7-1 親御さん・きょうだいとの関係を整える
障害のあるお子さんを長年支えてこられた親御さんにとって、結婚はうれしさと不安が入り混じる大きな出来事です。
– 「相手の方は本当にわが子の特性を理解してくれているのか」
– 「金銭面や生活面で、無理をしていないか」
– 「自分たちがいなくなった後も、ちゃんと暮らしていけるのか」
こうした不安に寄り添いながら、
– お二人がどのような準備を進めているか
– どのような支援者や相談窓口とつながっているか
– どこまでを親御さんにお願いしたいと考えているか
を丁寧に共有していくことが大切です。
当相談所では、希望される場合、
– ご両家を交えた面談
– 親御さんだけの個別相談
などを通じて、「親御さんの不安の言語化」と「お二人の思いの橋渡し」を行っています。
#### 7-2 支援者との「チーム」を作る
夫婦二人を支えるチームとして、
– 相談支援専門員
– ヘルパー
– 就労支援事業所のスタッフ
– 主治医や看護師
– 心理士やカウンセラー
などの存在は、とても心強い味方です。
「結婚すること」「二人で暮らし始めること」を、こうした支援者に早めに伝えておくことで、
– 必要なサービスの調整
– 緊急時の連携
– 夫婦関係を含めた生活全体のサポート
を、よりスムーズに受けられるようになります。
#### 7-3 東京・神奈川・横浜エリアの地域資源を活かす
東京・神奈川・横浜エリアには、
– 区役所・市役所の障害福祉課
– 地域活動支援センター
– 精神保健福祉センター
– 当事者・家族会
– NPOや市民団体
など、多様な支援の場があります。
例えば、
– 同じように障害のあるご夫婦やカップルと交流できる場
– 生活やお金のことを学べる講座
– ピアサポーターによる相談
などに参加することで、「自分たちだけではない」「困ったときに相談できる場所がある」と実感しやすくなります。
「どこに相談したらよいか分からない」ときは、まずお住まいの自治体の障害福祉窓口や、相談支援事業所に問い合わせてみると良いでしょう。
#### 7-4 連絡網づくりと情報共有
支援者との関係を築くうえで意外と大切なのが、「連絡網」と「情報共有」の工夫です。
– 緊急時の連絡先リストを作る
– 夫婦で共有するノートやアプリに、主な支援者の連絡先や役割を書いておく
– 体調や生活の変化を、定期的に支援者に伝える
こうした小さな工夫が、「いざというとき」にスムーズな支援につながります。
### 第8章 障害者 結婚相談所ができること:成婚後のアフターフォローまで
ここまで、「結婚はゴールではなく、生活づくりのスタート」であることを前提に、さまざまな準備についてお伝えしてきました。
最後に、障害者向けの結婚相談所として、私たちがどのような姿勢でお二人をサポートしているのかをご紹介します。
#### 8-1 出会いから成婚まで:生活を見据えたマッチング
一般的な結婚相談所との大きな違いは、「お相手探し」だけでなく「結婚後の生活」を見据えてサポートする点です。
具体的には、
– お一人おひとりの障害特性や生活状況、家族関係を丁寧にヒアリング
– 将来の働き方や住まい方、望むサポート体制についての希望を確認
– 価値観やライフスタイルの相性も含めたマッチング
を行います。
お見合いや交際の段階から、「体調や特性についてどこまで話すか」「いつ、どのように伝えるか」といった点も、一緒に相談しながら進めていきます。
#### 8-2 成婚前カウンセリング:夫婦生活の具体的なイメージづくり
成婚が近づいてきた段階では、
– お金と制度のこと
– 住まいのこと
– 家事・生活スキル
– 家族・支援者との関係
– 心の準備とコミュニケーション
といったテーマを一つひとつ確認する「成婚前カウンセリング」を行います。
ここでは、
– 二人がすでに話し合えていること
– まだ話し合えていない、あるいは話し合うのが難しいと感じていること
を一緒に整理し、必要に応じて第三者としての視点から提案を行います。
#### 8-3 成婚後のアフターフォロー:結婚生活への伴走
当相談所が何より大切にしているのは、「成婚して終わり」ではなく、「成婚してからが本当のスタート」という考え方です。
そのため、
– 結婚後1か月・3か月・半年・1年などの節目でのフォロー面談
– 生活や人間関係での困りごとに関する個別相談
– 必要に応じた、福祉・医療・法律など専門機関へのつなぎ
などを通じて、「夫婦としての生活づくり」に継続的に伴走しています。
また、
– 夫婦コミュニケーション講座
– お金の基礎知識セミナー
– 親御さん向けの勉強会
といった形で、「学び」と「交流」の場も提供しながら、お二人とそのご家族・支援者をチームとして支えていきます。
#### 8-4 「相談できる場所がある」という安心を
結婚生活では、想定外の出来事が必ず起こります。
– 体調の大きな変化
– 仕事や収入の変化
– 家族関係の揺れ
– 価値観の違いによるすれ違い
こうした出来事は、障害の有無を問わず、どの夫婦にも起こりうるものです。
大切なのは、「問題が起きないこと」ではなく、「問題が起きたときに、一緒に向き合い、必要なら誰かに相談できること」です。
障害者 結婚相談所として私たちが目指しているのは、お二人にとって、
– 気持ちを安心して打ち明けられる場所
– 現実的な選択肢を一緒に考えられるパートナー
– 長い人生の中で、時々立ち寄れる「伴走者」
であり続けることです。
### まとめ:結婚を「ゴール」ではなく「伴走」として考える
本記事では、「結婚はゴールじゃない。障害のある二人が自立した夫婦生活を送るために準備しておくべきこと」というテーマで、
– 障害のある二人が結婚で直面しやすい現実と課題
– 自立した夫婦生活の土台となる3つの視点
– お金・制度・住まい・家事・家族・支援者・心の準備といった具体的なテーマ
– 障害者 結婚相談所としての、成婚後を見据えた支援のあり方
をお伝えしてきました。
改めてお伝えしたいのは、次の3点です。
1. 結婚は「生活づくりのスタート」であり、準備をすればするほど安心して踏み出せる
2. 自立とは、「すべてを自分たちだけでこなすこと」ではなく、「必要なサポートを上手に組み合わせて、自分たちらしい暮らしを作ること」
3. 夫婦二人だけで抱え込まず、家族・支援者・地域・専門機関とつながることで、困難な場面を乗り越えやすくなる
東京・神奈川・横浜エリアには、「障害者 結婚」に真剣に向き合うカップルを支える多様な資源があります。そして、私たちのような障害者向け結婚相談所も、その一つとしてお二人の人生に伴走したいと考えています。
もし今、
– 結婚したい気持ちはあるけれど、現実的な不安が大きい
– 親や周囲の理解を得られるか心配
– お金や制度、住まいのことを誰に相談したらよいか分からない
と感じているなら、「不安だから結婚をあきらめる」のではなく、「不安だからこそ、一緒に整理してくれる人を探す」という選択肢もあります。
結婚は確かに大きな決断ですが、その先には、「二人で支え合いながら、自分たちらしく生きていく」という豊かな時間が待っています。本記事が、その一歩を踏み出すための小さな後押しになれば幸いです。お二人のこれからの歩みが、安心と喜びに満ちたものとなることを心から願っています。